特集レポート

【首都高で働くクルマ】2007-09-20

首都高で働くクルマ(2)
~パトロールカーなど安全を担うクルマ編~

 雨の日や渋滞のときは事故が起きやすいという。ひとたび事故が起きたらどんな体制で処理に当たるのだろうか。今回は首都高の安全を担うパトロールカーや標識車、高性能小型レッカー車、4トントラックにスポットを当ててみた。

【パトロールカー】
365日、24時間体制でフル稼働!

 首都高に配備されているのは、トヨタのランドクルーザーと日産のサファリ。なぜこれらのような大きいクルマが選ばれているかというと、現場で万一の時に盾となる役割も担っているからだ。事故現場などでは、作業中に後方から追突される危険性もある。そんな時に、小さく軽いクルマでは容易に弾き飛ばされてしまう。そのために、大きくて重いランクルやサファリを作業現場後方に置くことで、事故に遭われた方はもちろん、作業を行うパトロール隊員の安全も守っているという訳だ。

 また、もう一つの選ばれる理由として、本格的な4WD性能を備えていることも挙げられる。これにより、雨天や降雪、路面が凍結している時などにも、安全かつ迅速に現場に駆け付けたりと、パトロールができるのだ。

 どちらの車両も一般の乗用車とは異なり、黄色にペイントされていることはもちろん、天井部には可動式の標識が装備されるなど、さまざまな加装が施されている。荷室には現場ですぐに車線の規制などにも対応できるよう、カラーコーンや発炎筒、コンダクトサイン(矢印板)なども常時積まれている。

 また、運転席周辺に目を向けると、多くの計器類や無線がところ狭しと並んでいる。緊急時にはこの無線から連絡が入り、直ちに現場に向かうという訳だ。今日のまさに今この時にも、現場に急行しているパトロールカーがいるかもしれない。

【標識車】
最後方から通行車両にメッセージを発信

 工事現場や事故現場などで目にする機会の多いクルマが、この標識車。主に車線規制を行っている時に登場し、後方から来る車両に「工事中」や「事故」など、規制内容を伝えるために配備されている。

 作業現場で標識車が配置されるのは一番後方。そのため追突される危険性が高くなるので、車両の後方には衝撃吸収装置(クッションドラム)が5個搭載されている。装置の内部は水袋で、追突された場合に飛散しないようネットで包まれている。この装置は追突された側の衝撃を緩和するだけでなく、追突した側の衝撃を和らげる目的も兼ね備えている。

 標識車に搭載される標識板は、上下2つに分かれている。下側のスペースの小さい標識板はLED式となっており、光で文字を表示し、メッセージを伝えている。一方、スペースの大きい上側の標識板は内照式で、こちらが主に車線規制の内容を伝える役割を担当している。また、この標識板は電車の側面にある行き先の案内板と同じような回転式の看板で、なんと42種類もの表示が可能。その看板のさらに上、横一列に並んでいる黄色いランプが散光式黄色警光灯で、これは150メートル以上後方からでも確認できるよう作られている。

 このように、後方の安全確保という点でもっとも重要な役割を担う標識車は、他の作業車や作業員、ひいては追突してくるクルマの安全も守るため、さまざまな工夫や装備が施されたクルマなのだ。

【高性能小型レッカー車】
1台3億円のスゴイ奴

 次に登場するのは世界に2台しか配備されていない希少車、高性能小型レッカー車だ。これは走行不能に陥った事故車両などを回収するためのクルマで、なんと1台のお値段は約3億円。

一般的なクレーン車と大きく異なるのがボディの寸法。普通のレッカー車は地面に踏ん張りを利かせるため、全長、全幅ともに長く、非常に大柄なボディのものが多い。ところがこの小型クレーン車の全幅は、前述のパトロールカー(ランクルやサファリ)などとほぼ同じなのだ。それでいて、最大牽引力はなんと5トン以上。これが高性能と言われる所以である。

 なぜそれほど小さいボディが必要かというと、出入り口や合流地点といった狭小区間での事故処理を迅速に行うためで、一般のクレーン車では進入できない場合や大きく車線規制が必要な場合でも、このクルマがあることによって、無駄な車線規制をすることなく事故処理が進められているのだ。

 もう一つの特徴として、車重と排気量にも注目したい。この小型レッカー車、見た目は非常にコンパクトだが、実は12トンもある。やはり5トン以上もの牽引力を発揮するためには、引き上げる側にもそれなりの重量が必要になる。その超重量級とも言えるボディを動かす心臓部となるエンジンは、なんと8000cc。これまた超大排気量のエンジンで、重いボディを駆動させている。

 このクルマはかなりの希少車ゆえ、なかなか見かけるのは難しいが、運良く見ることができたら、そのコンパクトボディにきっと驚くはずだ。

【4トントラック】
1台で何役もこなす万能車

 最後に登場するのは、工事現場などでおなじみの4トントラック。大柄なボディでカクカクしたスタイリングなので、威圧感たっぷりのクルマだ。

首都高の4トントラックが一般的な4トントラックと異なる点は、やはり非常に目立つカラーリングだろう。ボディは黄色、前部のバンパー部分とボディ後部は赤と白でペイントされ、より視認性の高いクルマとなっている。さらに荷台の上部には黄色いランプも設置されており、これも特徴的なポイント。

 さて、その4トントラックはどんな仕事をしているのかというと、事故現場などで飛散した部品の回収や、補修工事などでの資材運搬等、多方面で活躍している。首都高で働くクルマの多くは、標識車やレッカー車のように、何かしらの目的に絞られて作られているのに対し、この4トントラックは、さまざまな用途に幅広く使われる存在なのだ。

このクルマはパトロールカーほど頻繁に見かける機会はないが、いろいろな用途に使われているので、工事現場などで見かけた際はぜひ注目してほしい。荷台をリフトアップした姿はかなり勇ましく圧巻だ。

【働くクルマを見終わって】

今回は、首都高の安全を担う働くクルマたちを見たわけだが、どのクルマにも何か職人的なオーラを感じたことが印象に残っている。「クルマ=機械」。それはもちろんその通りながら、一台一台つぶさに見ていくと、何かを語りかけてくるような気がする。まるで隊員たちの「オレが守ってやる」といった意気込みが乗り移ったかのように。どのクルマを見てもそんな表情をしていた点がとても印象的だった。


首都高で働くクルマ(1) ~路面清掃などのメンテナンスで活躍するクルマ編~

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