特集レポート
山手トンネル(5号池袋線~4号新宿線)12月開通!
~その概要と開通のメリット~
今年の12月、中央環状新宿線「山手トンネル(5号池袋線~4号新宿線・約6.7キロ)」が開通する。実はこの山手トンネル、最先端の技術が使われていたり、環境や安全面への配慮が徹底されているなど、気になることが盛りだくさん。そこで今後は月に1回程度テーマを分けて特集していくとして、まず第1回目となる今回は、もっとも知りたい開通後のメリットや、山手トンネル施工の背景など概要部分に触れていくことにしよう。
都心環状線を走るクルマの約6割は、通過するためだけに走る
山手トンネルとは何か? まずはそこから。山手トンネルとは、現在工事中の「中央環状新宿線」のトンネル名称のこと。トンネルの名前とはいっても、中央環状新宿線のほとんどがトンネル構造なので、中央環状新宿線=山手トンネルと考えてもいいだろう。
さてその山手トンネル、これはどことどこを結ぶ路線なのかというと、5号線の池袋、4号線の新宿、3号線の渋谷を1本の路線で繋ぎ、郊外方向から都心環状線を迂回して各放射道路に行き来できるという優れモノ。その5号池袋線と4号新宿線を結ぶ区間が12月に開通するという訳だ(4号新宿~3号渋谷間・約4.3キロは平成21年度開通予定)。
そもそもなぜこの路線が必要だったのか、その背景にも触れておきたい。そこには渋滞と大きな係わりがあったという。現在首都高にはC1と呼ばれる都心環状線がある。この環状線から3号、4号、5号といった各路線が放射状に延びているのはご存知のとおり。ところが都心環状線を走るクルマのなんと6割は、この環状線で降りることがない。単に別の路線に行くためだけに、都心環状線を通っているのである。確かに首都高を使って都心を抜けようと思えば、これしか方法がないのも事実。例えば、高井戸から埼玉県の戸田方面に行く場合、現在は4号線を上り、都心環状線を経由して5号線を下るというルートになる。
今や慢性的ともいえる首都高の渋滞。その要因は、上記のように「やむなく」都心環状線を走るクルマにもあるという。それらのクルマが都心環状線に入ることなく目的の路線に行くことができれば渋滞は緩和する。そのためにあるのがC2中央環状線であり、12月に開通する山手トンネル(中央環状新宿線)なのである。
ただし、この山手トンネルは都心環状線に入る必要のないクルマを迂回分散させて各放射道路へ接続させることを目的としているので、今回開通しても「5号池袋線下り→山手トンネル」、「山手トンネル→5号池袋線上り」、「4号新宿線下り→山手トンネル」、「山手トンネル→4号新宿線上り」のそれぞれの方向へは、行くことができない。
開通でルートの選択肢が広がり、渋滞は2割減
さて、我々ユーザーがもっとも気になるのは、やはり山手トンネル(5号池袋線~4号新宿線)が開通することでどんなメリットがあるかという点だろう。
まず、この山手トンネルの開通で目的に合わせたルートの選択肢が増え、時間が短縮できる点が挙げられる。先に述べたとおり、都心環状線に入る必要がないクルマは迂回分散し、首都高全体の流れが良くなる。その効果として、首都高全体で約2割もの渋滞解消が見込まれている。都心環状線に入ってくる台数が減るので当然といえば当然かもしれないが、2割も減るというのは大きなトピックスだろう。
例えば、ルートの選択肢が広がる例としては、中央道方面から渋滞中の4号線を上り、常磐道に抜けるルート。これは今までであれば、ひたすら渋滞を我慢して都心環状線に入り、そこから6号向島線へ行くという道程になる。ところが、開通後は、4号線が渋滞していると見るや、新宿から山手トンネルを利用して6号三郷線に入るという選択も可能になる。
次に、その渋滞解消で生まれるメリットが、所要時間の短縮だ。例えば、4号新宿線上りの渋滞が減少することが見込まれているが、それにより今まで高井戸から霞ヶ関まで約40分かかっていたのが約10分短縮される。
ちなみに平成21年度に4号新宿線~3号渋谷線間が開通すると、首都高全体の渋滞は、現在に比べて約5割も減ると予測されているそうだ。
地下鉄などの網目を縫って、地下40メートルを走る
今まで散々「山手トンネル」の名前を出してきたが、このトンネル一体どこを走っているのか? もうお分かりだろうが、「山手通り」の地下を通りに沿って走っている。「なぜ地下? 高架にすればいいのに」とお思いの方もいるかもしれない。
地下構造にした理由は、環境への配慮が大きい。地上を走る山手通りの周辺は、ビルやマンションといった建造物が非常に多い。そうした場所で、ただでさえ交通量の多い山手通りの上に高速道路を造ったらどうなるか。排気ガスや騒音など、周辺の環境への影響は計り知れないものとなってしまう。そこで考えられたのが地下構造。山手トンネルのJCT以外の部分は、すべて地下を通っていることになる。
しかもその地下というのが半端ではない。地下40メートルに達するところもあり、これは水道管や電話線といったライフラインはもちろん、地下鉄などの路線が網の目のように張り巡らされているからである。東京メトロ、都営地下鉄、私鉄を合わせればなんと9路線。
これらを避けながらトンネルを掘り進める際、ここで大活躍したのが、もぐらのように掘り進む最先端のシールドマシン。
地下鉄を掘るマシンよりも遥かに大きい直径は、なんと13メートル。重さは2,000~3,000トン以上もある。このマシンのおかげで、工期の短縮やコストの削減が実現できたという。
トンネル内に死角なし! 安全確保も万全
我々利用者の安全確保にも抜かりはない。トンネル内には死角がないように、約100メートル間隔で設置されたテレビカメラは管制室と繋がっており、24時間体制でトンネル内を見守っている。しかもこのカメラは、道路上で通常でない動きがあると自動的に察知して交通管制員に知らせる機能がある。さらにどこで出火しても見逃さないように、25メートルおきに自動火災検知器もある。
万一の時への備えも複数ある。トンネル入口と内部には警報板と信号機が取り付けられ、もしもトンネル内で火災や事故が起きたら、進入を止めたり、避難路へ誘導する。また、水噴霧設備や排煙口、50メートルおきに消火器や非常電話なども設置されている。このように我々の安全確保を万全にして、山手トンネルは開通の時を今や遅しと待っているのである。
環境という観点では、トンネル内を走行するドライバーが安全で快適に運転できる環境を保つため、換気所では、換気塔を使ってトンネル内の空気を入れ換えている。換気塔から排出された空気は、上空高く吹き上げられ、拡散される。さらに、換気所には、二酸化窒素を90%以上、浮遊粒子状物質を80%以上除去する設備が導入されている。こうしたことにより、周辺に与える影響は極めて少ない。また、換気所内は消音装置を設置、音にも配慮している。
その他クルマの走行には直接関係ないのだが、山手トンネルの上を走る山手通りの整備も見逃せない。電線を地中化したり、自転車通行帯を設けたり、中央分離帯には植樹をするなど、緑豊かで走りやすい道を目指して整備を進めている。
まとめ
今回は山手トンネル特集の第1回目として、概要やメリットの部分をお伝えしたが、技術、環境、安全面の話などはごく一部。ほんの触り程度をお話ししたに過ぎない。今後はこれらをテーマに、より深く、ちょっと気になるような面白い話をお伝えしていこう。
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