特集レポート

【エリア特集】2007-11-08

24時間集中工事の内容とは?
~ノージョイント化で快適な走行へ~

10月28日(日)、11月4日(日)の2日間、首都高3号線で集中工事が行われた。上下線を1車線ずつ24時間も規制して行われる工事とはいったいどんな内容なのか、その模様を直接現場に行って取材してきた。

継ぎ目をなくしショックを感じない道路に

 まず、この集中工事は何のためにやるのか。それは上の写真を見てもらうのが一番分かりやすい。一言で言えば、道路と道路の間にある継ぎ目(ジョイント)をなくすための工事である。このジョイント部分を乗り越えると「タンッ」と音がするだけでなく、多少ショックも感じるので、ドライバーにとっては心地のいいものではない。また、音が出ることにより、周辺住民への迷惑にもなりかねない。そこでこのジョイントをなくし、他の路面と同じ状態にすることで、ショックを感じることなく走れる状態にし、騒音の軽減も図ろうというのがこの工事の目的になる。

 今回集中工事が行われた三軒茶屋~用賀の区間では、このジョイントが30メートル間隔で存在する。これを3つに2つの割合で撤去し、ひとつながりの路面にする。部分的にジョイントを残すのは緩衝のため。夏や冬の温度変化によってアスファルトが伸縮する。その変化に対応するために一定の割合で残している。この工事が完了すると今まで30メートル間隔で存在したジョイントが、90メートル間隔になり、よりスムーズに走れるようになる。


事前のテストを突破した職人のみが作業する

 運転時の衝撃と音を減らし、ドライバーにも近隣の住民にとっても喜ばしいノージョイント工事。大まかな作業工程は以下のようになる。

1 アスファルトを切る

2 鉄筋を露出させるためにコンクリートを崩す










3 曲がっている鉄筋をまっすぐに修正する















4 鉄筋同士をつなぐため、新たな鉄筋を仮止めする










5 鉄筋を溶接する










6 コンクリートを流し込む

7 固まるまで養生させる

8 アスファルトの舗装作業をする










 要所を抜粋しただけでもこれだけの工程になる。一般的な工事では、24時間でこの工程を終了させることは困難なのだが、比較的交通量の少ない日曜日を選んでいるとはいえ、首都圏の大動脈で何日にも渡って車線規制をするわけにはいかない。そこで時間内に工事を終わらせるため、選りすぐりの職人たちが各地から集められた。しかもその実力を見極めるために、事前に選抜テストを行い、これにパスした精鋭だけで工事にあたった。

 テストの内容は、主に溶接技術。この工事の成否を大きく左右するのが溶接。早さに加えて正確性も求められる。事前にそのスキルを確認しておかなければ、とても時間内には工事が終わらないということでもある

 それらを踏まえた上で、タイムスケジュールは綿密に管理され、作業の状況は逐一本部に報告される。職人たちはすぐ横をクルマが通り抜ける状況に身を置きながらも、時間と戦いつつ正確に作業を進めなければならないのだ。

24のパーティが一斉に作業を開始する

 テストをパスした職人たちは、6人程度でパーティを組み工事にあたる。今回ノージョイント化されるのは48カ所。これを24のパーティが2日間に分けて作業を行う。現場を訪れたのは初日の10月28日(日)11時頃。辺りにはコンクリートを打ち砕く音が響いていた。

 24ものパーティがあるので、進捗状況はそれぞれ異なるが、アスファルトが切られ、ブレーカーでコンクリートが壊され、すでに鉄筋がむき出しになっている現場もあった。鉄筋は上段と下段に分かれており、新たな鉄筋で添え木をするよう対面の鉄筋と溶接する。しかし、しっかり固定されているジョイントをはずし、鉄筋の周りのコンクリートを徹底的にはがす工程によって、鉄筋は好き勝手な方向に曲がっていた。

 このままでは繋ぐことはできない。そこで、1本1本まっすぐになるように、ひたすら修正を加えていくのである。

 この作業が終了すると、今度は添え木となる新たな鉄筋を針金を使って仮止めしていく。隣のパーティの状況をのぞいてみると、こちらは鉄筋をむき出しにするためにコンクリートをダカダカと壊している最中。壊しては中から破片を拾い集め、回収したらまた壊す。これを根気強く繰り返す。その後には、いまこの現場で行われている、何十本もの鉄筋をまっすぐにする作業が待ち受けている。

気の遠くなるような作業が続く

 鉄筋を修正し、ゴムを設置したパーティは、すでに仮止めも終わり、下段部分の溶接に入っていた。この溶接が今回の工事の成功のカギを握る。それだけに熟練を要する技術となる。鉄筋は断面が丸いので、鉄筋と鉄筋の接する面積がとても少なく、強度を保つことが非常に難しい。しかも下段は上段の鉄筋が作業の邪魔になるので、作業が進めづらい。こんな状況で何十本もの鉄筋を溶接する。

 下段の溶接が終わっても、まだ折り返し地点に過ぎない。今度は上段で再び添え木となる鉄筋を仮止めして、溶接を進めていく。言葉にすれば数秒だが、まさに気の遠くなるような作業が続けられる。上段の溶接が終わると、溶接した鉄筋にクロスするように鉄筋を配し、コンクリートを流し込む作業に入る。その後養生し、アスファルトを敷きつめ、晴れて工事終了となる。

今後もノージョイント化を進めていく

 さて、選ばれし職人たちが時間や危険と戦いながら成し遂げたノージョイント化。これにより、周辺の騒音レベルは3デシベル減少するという。その効果は3号線を毎日走行する100,000台のクルマが、50,000台程度になるほどだとか。しかしながら、その効果は周辺住民や毎日のようにその路線を走る人でないと、なかなか気付かないかもしれない。それでも確実にスムーズに走れる状況になっていることは確かだ。そしてこれらの取り組みは今後も続いていく。このノージョイント化は、これから先も各地のジョイントをなくしていくことが計画されている。

 また、今回の集中工事においては、ノージョイント化だけでなく、ガードレールや排水口も新しいものに変更されている。何気なかったり、小さくて見落とされてしまいがちだが、我々の眼に届きにくいようなところでも、着々とメンテナンスが進められている。

■まとめ

 正直、取材前まで「ジョイントの除去になぜ24時間もかかるんだ?」と思っていた。が、それが効率の問題で、集中工事にしないともっと時間がかかってしまうことや、さらに多くの職人が集中して作業を進めている様子をまじかで見て納得した。それほど大変な仕事だったのだ。ノージョイント化は目に見えない部分の工事であり、そのうえ完成すると他の路面とまったく同じになるのでその痕跡が分かりづらい。かつてそこが「タンッ」と音がした場所だったことを知るただ一つの方法は、壁を見ること。写真のように施工された箇所にはジョイントの名ごりが少しだけ残っている。それを確認しながら走ってみると、どれだけ快適になったかが分かるかもしれない。

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