特集レポート

【エリア特集】2007-11-22

「山手トンネル」(5号池袋線~4号新宿線)12月開通!
~事故が起きたらどう動く?~

山手トンネル特集3回目となる今回は、来月に迫った開通を前に、トンネルの防災面に迫ってみよう。事故が起きたら私たちはどう行動すればよいのか、また山手トンネルにはどんな防災設備が整っているのかなどを、首都高速道路株式会社管制技術グループの岡野さんにうかがってきた。

何よりもまず通報を!

 トンネル内は上空が開けた一般的な道路とは異なり、一つの事故が火災につながり、大惨事を生む可能性を秘めている。私たちがそうならないためには、やはりもしもの時に対する備えをしておくことが大切。トンネル内のトラブルは、事故の当事者となった場合や後ろに付いていた場合などさまざまなケースが考えられるが、その"もし"が起きた時、私たちはどう動けばいいのだろうか。

 「まず事故や故障の当事者となった場合ですが、クルマが動くようであれば路肩などに移して安全を確保してください。走行車線などで移動できない、またはドアが変形してしまった場合などは、車内から携帯電話で連絡をください。番号は『♯9910』です。ガイダンスにしたがって番号を押してもらえば(首都高は1)首都高の管制室に繋がります。

 もちろん非常電話(約100メートル間隔で設置)からも連絡できます。この電話は受話器を取れば管制室に繋がりますし、通話ランプがついたら『故障』『事故』『救急』『火災』のいずれかのボタンを押してもらうことで、大まかな用件を伝えることもできます。

 ただ、むやみに車外に出ることは、後続車に轢かれる可能性もあり大変危険です。パンクなどの故障の際も同様ですが、自分でできるからと作業をして、いつしか作業に夢中になり、体が走行車線に出てしまうこともあります。まずは自身の安全を確保して、管制室に連絡してほしいですね」

火の手が上がる前には白いケムリが上がる

 まずは安全の確保と連絡が第一ということですね。その後はどうしたらいいのでしょうか?

 「連絡後は、安全な場所でパトロールカーの到着を待っていてほしいのですが、出火には十分注意してください。トンネル内の事故でもっとも危険なのは火災です。炎はもちろん、ケムリや閉所にいる恐怖感などからパニックに陥る可能性もあるので、自分のクルマは大丈夫か確認してください。

 ちなみに出火は、事故の衝撃ですぐ火の手が上がることは少ないのです。多くの場合は、まず白いケムリが上がり、その後しばらくしてボワっと出火するケースです。もしみなさんが消火器の使い方に心得があれば、この白いケムリのうちに消火器や泡消火栓(約50メートル間隔で設置)を使って消火作業をお願いします。ただ、当事者には消火義務があるとは言え、火の手が上がってからではなかなか鎮火させるのは難しいので、その場合は無理をせずに避難することが大切です。消火器の取り扱いが分からない方も同様に、ご自身の安全を一番に考えてほしいですね。そして到着したパトロール隊員の指示に従っていただければと思います」

何かおかしいと感じたらラジオのスイッチを

 事故の当事者以外、例えばすぐ後ろについていたとか、そのさらに後方でとまってしまった場合はどうしたらいいのでしょう?

 「後続車として事故や故障に直面した場合、当事者がパニックになり連絡できない状況も考えられるので、やはり連絡を入れてほしいですね。誰かが連絡するだろうと考える方もいるかと思いますが、念のため連絡してもらえると助かります。

 さらに後方にいる場合は、警報板(約1キロメートル間隔で設置)に「ここで止まれ」や「次で出よ」「ここで出よ」といった指示が表示されます。その指示に従ってほしいのですが、警報板が見えないところでとまってしまっても、トンネル内では緊急のラジオ放送や拡声放送スピーカーからメッセージが流されます。ラジオはAM/FMどのチャンネルでも聞くことができますので、何かおかしいと感じたら、ラジオのスイッチを入れていただければと思います」

 これからトンネルに入ろうとした状況で信号が赤になっていて、入り口手前でとまった場合はどうすればいいのでしょうか?緊急のラジオや拡声放送も聞こえないと思うのですが…。

 「この場合は、前方のトンネル内にクルマがいなくても、信号の位置で停車してください。あいてるから大丈夫だろうと入っていきたくなるのですが、先を走っていたトンネル内のクルマは、誘導で先の出口から出ていることもあります。10分くらいでパトロール隊員がやってきますので、その指示に従ってください。トンネルの入り口付近には、こういった状況下において一般道に出られるゲートがあるので、そちらから出ていただくことになります」

設備の充実だけでなく情報の伝達も的確に

 なるほど、私たちがもしもの時にどう行動すればよいのかはよく分かりました。では山手トンネルには、そのもしもの時に備えてどんな防災設備が備わっているのでしょうか?

 「かなり最先端の設備を整えています。テレビカメラは約100メートル間隔で設置してトンネル内に死角はありません。しかもその映像に異常が検知された場合には管制室に警告が出るようになっています。例えば走行車線を異常に低い速度で走っていたり、路肩にクルマが止まっていたりするケースなどですね。

 火災に対する設備も整っています。水噴霧設備をトンネル内全線に渡り設置しています。これは霧状の水を約50メートルの範囲に噴霧し、火災の延焼や拡大を防止するものです。また山手トンネルでは排煙口から煙を吸いだすことで、ケムリを人の高さより上空に10分間とどめることができます。最大約350メートル間隔で設置された非常口まで、ゆっくりと歩いて行っても十分に間に合うようになっています。

 その他、いち早く現場に到着できるようトンネル付近にパトロール基地を増設したり、バイク隊の創設といったことも行っています」

 「また、設備とは少し話が異なるのですが、情報を的確に、そして分かりやすく伝えることも重要です。非常口のマークを大きくしたり、黄色い回転灯を付けて視認性を高めることもそうですが、例えば警告板にでる文字の内容。これはシミュレーターを使った実験結果を踏まえ、もっとも効果が得られる言葉で内容を伝えています。『ここで止まれ』などがそうですね。これが『この先火災発生通行止』ではまだ行けるだろうと進んでしまう可能性があるんです。

 また、文字以外に感覚で危険を察知できるような機能も備えてあります。トンネルに入ってすぐの天井部分には赤いランプが3列並んでいて、火災発生時にはランプが点灯します。これを入り口の手前から見ると、トンネル内が赤く光っていて、何かあるぞと直感的に危険を感じられるようにもなっているのです。

 このように、12月22日に開通する山手トンネルは、設備はもちろん、情報を伝えることに関しても徹底的にこだわり、万が一の時でもみなさんの安全を守っていけるよう万全の体制を敷いて開通の時を待っています」

■まとめ

 万が一というのは、その名のとおり確率としては非常に低い。そのためにこれだけの設備を整えていることに、まず驚いた。しかし、やはりゼロではないのだ。備えあれば憂いなし。せめて何か異常があった時にはラジオをつけることと、「♯9910」を携帯のメモリーに入れておくことだけはしておきたい。


安全性への配慮

中央環状線 C2インフォメーションセンター

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