特集レポート

【インタビュー】2008-01-17

首都高のメンテナンスとは?
~首都高を陰で支える縁の下の力持ち~

クルマやバイクは必要に応じてメンテナンスをするもの。実はコレ、道路などのインフラも同じこと。経年変化や車両の通行による傷みなどで、さまざまなメンテナンスが必要になってくるのです。では実際に首都高ではどんなメンテナンスが行われているのか?その辺りを探ってきました。

長く安全に使うためにメンテナンスが必要

 首都高を走っていると、補修工事などで車線が規制されていることがある。私たちにとってみれば「なんだよ」と思うことも多いのだが、実はこのメンテナンスをやらないと、長い間には症状が進行し重大な事故や災害につながりかねない。

 首都高のメンテナンスは、クルマやバイクのメンテナンスと同様に、症状が軽いうちに補修をし、長く安全に使用することを目的に行われている。また、道路上の落下物といった突発的な事態への対処など、首都高内にある危険を排除することもメンテナンスに含まれている。

 ただ、一口にメンテナンスと言っても、その内容は多岐に渡り、案件も膨大な数になる。なにせ首都高は総延長約300キロメートル近くにもなる高速道路であり、高架やトンネルが多い(全線の約90%)のだから大変だ。

 ではまず膨大な案件をどう処理しているのか。これは日々の点検で上がってきた案件をデータベース化し、緊急度に応じて2つにランク分けされている。前述の落下物など緊急を要する案件はA、それ以外がB、C、Dとなる。A→B→C(Dは損傷なし)の優先順位でメンテナンスに当たっている。

 ちなみにAはすぐにでも作業が必要な案件なので、データベースに残っていることはあまりないそうだ。

メンテナンスの内容は大きく5つ

 ではその案件、メンテナンスの内容とは一体どんなものなのだろうか。これは大きく5つに分類することができる。「伸縮継手補修工」「舗装の補修工」「排水管の補修工」「構造物の補修工」「緊急応急対策」がそれなのだが、見ただけでは何をやっているのか分かりにくいので、それぞれ内容を紹介していこう。

 まずはメンテナンスの花形とも言える「伸縮継手補修工」。伸縮継手とは道路と道路を繋ぎ、気温の変化による伸縮を緩和する役割を果たしている部品で、これを補修する。この補修工事は年間400~500レーン行われており、以前お伝えしたノージョイント化の工事同様、片側ごとに車線規制をして作業する。

 車線規制をするとなれば、工事は時間との戦いになってくるので、限られた時間内に作業を完遂させるために、熟練の職人たちが選抜される。つまり選ばれし者のみがこの補修を担当できるというわけで、その辺りがこの補修工が花形と呼ばれる所以でもある。

 写真のケースでは、伸縮継ぎ手の黒いゴムの一部が破れて穴が開いている。これはゴムとコンクリートを繋ぐボルトなどが劣化した結果起こる。そこで交換の原因になった構造(ボルトによる固定など)を持たない新型の伸縮継ぎ手にし、耐久性を高めた。

アスファルトも消耗品なのだ

 次に「舗装の補修工」。これは傷んだアスファルトを直す作業のこと。アスファルトはタイヤ同様、歳月が経つにつれて磨耗し減ってくる。もちろんタイヤ並に消耗するわけではないが、1日100万台以上のクルマが通行する首都高。チリも積もれば何とやらで、確実にアスファルトは消耗している。

 消耗の仕方も路面が均等に減るのならさほど大きな問題ではないのだが、やはりタイヤが通過する部分を中心に減っていくので、そこがわだちとなり、ハンドルを取られる危険性が出てくる。

 もう一つ、わだちの原因として挙げられるのが夏場の渋滞。気温の高い時期に渋滞で止まっていると、クルマからの熱でさらにアスファルトが柔らかくなり、そこにクルマの加重がタイヤを通してかかってくる。しかも橋などの場合、橋は常に揺れているものなので、揺れの度にギュッギュッとアスファルトを押しているような状態になるのだ。

 これらの要因から傷んだアスファルトを補修するのが舗装の補修工となっている。

 写真は、路面を舗装しなおして、均一にならしているところ。

非常口を直すのもメンテナンスの一つ

 「排水管の補修工」とは、路面上に降った雨を排水する管を交換すること。高架などの場合、雨は路面上に配置された排水口から排水管を通って下に送られるが、その排水管が紫外線などにさらされることで劣化してしまう。

 また、雨と一緒にタイヤについた泥なども流れてくるので、排水管には土砂などが堆積してしまうのだ。定期的に清掃はしていても、堆積した土砂が石のようになってしまっているケースもあり、そうなると排水管としての機能を果たせなくなる。そんな時にも排水管の補修工が行われている。

 そして「構造物の補修工」。これは上で紹介した補修以外のほぼすべてと言っていいほど守備範囲が広い。代表的なものではコンクリートの補修が挙げられる。

 細かい作業内容はいろいろあるが、その中でも写真の「叩き点検工」と呼ばれるものは、鉄筋がサビてコンクリートが一部剥がれかけているような状況の時に、それを叩いて落とし、点検と同時に剥落を未然に防ぐことも行っている。

 鋼鉄でできているところにも補修が行われる。下の写真は高架の道路の下にある桁に入った亀裂のチェックをしているところ。幅0.1ミリほどの亀裂に塗料を流し込み、さらにその塗料を浮き出させるスプレーをかけて、亀裂を強調し場所を把握する。このあと亀裂の補修をする。

 その他トンネル内のタイルパネルを張ったりするのも構造物の補修工に当たり、おもしろいところでは、非常口を直すのもこの範疇になる。非常口は長い間使われていないことも多いので、ドアが固着してしまうこともある。またキーシリンダーがサビてカギが使えないといったケースなどもあり、構造物の補修工は、大小さまざまな補修を行っている。

ベニヤ板1枚でも優先順位はA

 最後に「緊急応急対策」とは、冒頭の優先順位でいうAにあたる案件。内容は落下物やガードレールの破損、アスファルトに穴が開いているなどさまざま。

 例えばベニヤ板が1枚落ちていただけでも優先順位はAとなる。なぜなら左右どちらかのタイヤだけベニヤ板を踏んだ状態でブレーキをかけたら、瞬時に操舵を失い側壁や他車にぶつかってしまう恐れがあるからだ。

 実際のケースとして、下の写真では合流地点のガードレールにトラックが突っ込み、右側のガードレールがなくなってしまった。このままの状態では、走行レーンを見間違うかも知れない危険がある。そこでガードレールができるまでの緊急措置として、砂の入った紅白のパックを積んだ。

また、霞ヶ関トンネルのすぐ外でたくさんの資材が散乱した際には、大型トラックを入れて撤去を進めた。

 こういった一刻を争う事態に対応しなければならないのが、緊急応急対策だ。

■まとめ

 今回は首都高でどんなメンテナンスが行われているのかを伝えてきたが、普段何気なく走っているその陰には、数え切れないほどのメンテナンスを行っている職人たちがいる。その縁の下の力持ちがいるからこそ、私たちが安全に走行することができるわけだ。

 しかし、今回紹介できたのはほんの概要に過ぎない。今後は数回に分けて、より詳しいメンテナンスの内容をお伝えしていこう。

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