特集レポート

【首都高で働くクルマ】2007-08-09

首都高で働くクルマ(1)
路面清掃などのメンテナンスで活躍するクルマ編

首都高を走行中、ちょっとごっつい黄色いクルマを見たことはないだろうか?そのクルマこそが、緊急時や特殊作業で活躍する働くクルマなのだ。普段、何の気なしに見ている働くクルマも1台1台役割が異なっている。そこで今回は、路面清掃などのメンテナンスをメーンに行う高圧洗浄車、ウニモグ、ロードスイーパー、散水車、バキューム車に迫る。

【高圧洗浄車】
超高圧水のポンプが汚泥を一掃!

 高圧洗浄車とは、下水管などを高圧の水を噴射することによって、洗浄を行うクルマのこと。首都高に配備されているのはいすゞのアチューマットシリーズ。これは昭和40年から続く歴史の長いシリーズで、モデルチェンジのたびに進化を重ねてきた信頼のブランドでもある。
 では実際にどうのように洗浄が行われていくかを説明しよう。まずは車両の後部にある高圧水ポンプから高圧ホースを下水管に挿入。そして高圧ホースの先端に取り付けられた噴射ノズルから、進行方向とは逆の斜め後方に水を噴射。高圧の水の噴射により、汚泥を撹拌しながら進むのである。先端に取り付けられる噴射ノズルは交換が可能なので、汚泥の堆積具合や下水管の太さなどによってさまざまな状況にも対応できる。

 下水管の汚泥を一掃できるほどの力を持つ高圧洗浄車。その源でもある高圧水ポンプにはどれだけのパワーがあるのかというと、なんと115馬力もあるのである。これは1.5Lクラスの普通乗用車の馬力に匹敵する。ちなみにこの高圧水ポンプ、1分間に227リットルもの水を吐出できる。たったの1分でお風呂の水はいっぱいになる計算だ。しかも先端のノズルの穴は数mm程度。これらを鑑みれば、どれだけ高圧の水が噴出するかが容易に想像できるというものだ。

 この高圧洗浄車を見かける機会はなかなかないと思うが、首都高にはこんな縁の下の力持ちも配備されているのである。

【ウニモグ】
アタッチメントを交換すれば、1車4役の働きモノ

 ウニモグとは、メルセデス・ベンツが販売する多目的作業車のことで、名称の「Unimog」は、Universal Motor Geratを略したものだ。このウニモグ、多目的作業車の名のとおり、ボディ後部のアタッチメントを交換することで、実にさまざまな用途に使われている。清掃車や除雪車、クレーン車などとして使われるのは理解できるが、ゴムタイヤを鉄輪に履き替え、線路を走る鉄道用のアタッチメントまでラインナップされているのである。さらに前後で30段もある変速機のおかげで、どんな路面状況においても力を発揮できることも特徴の一つだ。

 そんな万能作業車ともいえるウニモグ、首都高ではどんな用途に使われているかというと、清掃車軍団の一台として配備されている。中でも、ウニモグが担当するのはトンネルの壁などといった路面以外の部分が中心。トンネル内の清掃に関しては湿式、乾式2つのアタッチメントが用意されており、湿式は洗浄液を出しながらブラシを回転させトンネルの側面などを清掃する。一方乾式タイプは洗浄液を使用せず、ポリウレタンフォームのブラシで、壁面を拭き取りながら清掃する。清掃時に出る粉塵を収集する集塵装置も用意されているのがポイントだ。

 その他、ガードレールを清掃するアタッチメントや、車線を分けるためのポールを清掃するためのアタッチメントなども完備。つまりこのウニモグ、1人2役どころか、1車4役をこなす働きモノなのだ。

【ロードスイーパー】
3つのブラシで路面のチリを根こそぎ回収

 四角いスタイリングでなんとも威圧感たっぷりなのがロードスイーパー。これは8トントラックのシャシーに架装を施した4輪ブラシ式の路面清掃車のことで、水を撒きながら路面の清掃を行う。首都高に配備されているのはHF95H形というグレードで、3mというクラス最大の清掃幅と容量1900Lという水タンクにより、もっとも効率よく清掃が行えるトップグレードである。

 さてそのロードスイーパー、どのように清掃が行われるかを紹介しよう。まずはボディの先端にあるノズルから水が撒かれ、その後、ボディ下部のブラシが路面の汚れを清掃。そこで掃き出されたチリは、コンベアによってボディ後部のホッパに運ばれ、そこに集められる。つまり、ブラシがゴミを掃き出して終わりではなく、そのゴミはしっかりとロードスイーパーに回収されるのである。方法は違えど、特大の掃除機のような感覚に近い。ちなみに清掃を行うブラシは、主ブラシ、側ブラシ、補助側ブラシの3つに分けられるが、主ブラシの直径はなんと90センチ。最大清掃幅が3メートルいうのも納得だ。

 もう一つ、ロードスイーパーの特徴はその大きさ。全長はなんと7メートル以上、全幅は2.5メートル近くにもなる。そして車両重量は12トンオーバー。この大きなボディが1時間で3km~30kmの路面を清掃しているのだ。ロードスイーパーは夜に稼動していることが多いが、もし見かけた時はその大きさと動きを見てみるのもいいかもしれない。ただしよそ見運転には注意して…。

【散水車】
夏場は巨大打ち水ロボとして活躍中!

 梅雨が明け、夏本番を迎えた今日この頃。首都高上はビルやアスファルトの照り返しでとてつもない温度になっている。そんな暑さに一時の清涼を与えてくれるのが散水車だ。容量が4000リットルという巨大なタンクの利点を生かし、夏場はこの散水車が「巨大打ち水ロボ」と化す。前後のノズルから1分間に最大330リットルもの水を打ち出し、周囲の温度上昇に歯止めをかけているのだ。そしてこの打ち水にはもう一つの意味がある。それはアスファルト自体を冷やすこと。この時期の首都高の路面温度は非常に高くなるので、アスファルトへの影響が大きい。それを保護し、寿命を縮めないためにもこの打ち水作業が行われているのである。

 さて、この散水車は打ち水だけのために配備されているわけではない。普段はなにをしているのかというと、ロードスイーパーと行動を共にしている。ロードスイーパーがブラシで小石やゴミなどを掃除する際、ホコリやチリなどが巻き上がらないようロードスイーパーの前で露払い役として水を撒いているのだ。ちなみに散水車は大量の水を消費するが、その水は水道水を使うといった贅沢なことはせず、工業用水を使用している。

 出動回数はロードスイーパーと並んで比較的多め。週に2回程度出動しており、主に夜中に作業を行うことが多い。見かけた際は、散水車とロードスイーパーのコンビプレイに要注目だ!

【バキューム車】
災害時など困った時に頼りになるニクイ奴

 首都高の歴史を見た方はもうご存知だろうが、首都高は高架構造になっているところが非常に多い。排水の仕組みは当然上部から排水管を伝って下部に降りる形だが、目に見えるようなゴミは別として、砂や泥などは雨水と一緒に下部に溜まってしまう。チリも積もればではないが、汚泥が溜まってくると排水に影響を及ぼしかねない。そこで登場するのがバキューム車だ。このバキューム車の吸引力は、ホースの口径(10cm)以下の石程度なら難なく吸い込んでしまうほど強力で、もちろん汚泥も容易に吸引できる。汚泥の溜まりやすいポイントは決まっているので、そこを定期的に掃除するというのが首都高のバキューム車の任務になっている。

 汚泥の清掃がバキューム車の主な任務になるが、実は災害などの緊急時にも活躍するといった側面もある。台風などで大雨になった場合、雨水を排水しきれずに上部で堆水してしまうことがある。そうなっては交通事故などの二次災害につながる危険が出てくるので、排水を助けるべく、バキューム車の出番となるのである。

 この車両は頻繁に作業を行う類のクルマではないので、首都高での配備台数は他の働くクルマと比べて3台程度と少なめ。さらに作業自体が高架の下になるので、見つけるのはかなり難しい。台風などの災害が起きた時はチャンスではあるが、自分の身も危険にさらされるので、ゆっくり観察する余裕はなさそうだ。普段見かけることができたらラッキーくらいに思っていたほうがいいだろう。

首都高で働くクルマ(2) ~パトロールカーなど安全を担うクルマ編~

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