特集レポート

【首都高トリビア】2008-02-14

高架下の有効活用に向けて
~現在の状況と今後の展望~

首都高の構造は全体の約80%が高架で形成されている。当然その下には広大なスペースが広がっているわけだ。しかし、その空間がどのようになっているかというと印象はあまりない。そこで高架下が現在どのように使われているのか、そして今後どのような展開が考えられるかを探ってみた。

首都高の高架下はすでに98%も活用されていた!

 高架下が不法投棄になやまされている状況は、以前の特集で採り上げたとおりだが、実際に首都高の高架下はどのような状況にあるのだろうか。首都高のホームページにも「高架下などの空間を使って、もっと収益性の高いビジネス、新しいサービスをできないか」といった声を見ることができる。そこで高架下の活用状況などを調べてみると、意外な事実が分かってきた。

 下に河川や幹線道路などが走る部分を除いた高架下の面積約81万平方メートルのうち、活用していないのはたった2%(1万9000平方メートル)に過ぎないのだ。つまりほとんどの高架下(98%)がすでに活用されているわけで、余った空間を遊ばせているという認識はちょっとちがう。

 事実、高架下の活用に関しては、首都高の建設当初(東京オリンピックの前)から計画が進められており、昭和35年には汐留付近の高架下に駐車場ができていたのである。

 しかし、そのデータを前にしてもどこか釈然としないのもまた事実。なぜなら「活用率」と「有効に活用しているか」はまったくの別問題だからだ。

 首都高の高架下は駐車場や公園、倉庫になっていることが多いのだが、それらが非常に有効なのか、高い採算が望めるかという点には、もっと切り口があるのではとの感想が残る。だからこそ高架下のほとんどが活用されているにもかかわらず、何かもったいないという印象があるのではないだろうか。

高架から流れ落ちる雨水で発電!?

 高架下は他の高速道路や線路の下など、首都高以外にも数多く存在する。そしてそれらの活用状況が実に興味深い。例えば西武鉄道池袋線の中村橋駅付近の高架下。ここには保育所が存在する。仕事をもつ女性が増えた昨今、通勤途中に子供を預け、帰宅時に子供を迎えられるという状況は非常に合理的かつ有効な活用方法と言えるのではないだろうか。

 雨がしのげるという高架下の特性をうまく活用した例もある。福岡市東区にあるJR箱崎駅の高架下には、ペットのための複合施設「ドッグパークJR箱崎駅前」があり、ドッグランも併設されているので、雨の日でも愛犬を思う存分遊ばせることができる。

 また、大阪市阿倍野区の高速高架下ではトランポリンを設置したクラブがあり、これも頭上空間を稼げるといった高架下の特性を生かした活用方法と言える。

 さらにおもしろいところでは、東京都小金井市の雨水発電が挙げられる。これはグリーンネックスというNPOが行っているプロジェクトで、JR中央線の武蔵小金井駅の高架から流れ落ちる雨水の力を利用して発電するというもの。この仕組みで集められた電力は、高架下の照明や植栽の水やり、非常用無線のエネルギー源として活用されている。

高架下利用に立ちふさがる壁

 これらのように、他の高架下ではさまざまな方法で活用されているのだが、首都高ではこのような活用は望めないのだろうか。そこには乗り越えることが困難な「壁」があったのだ。

 まず、首都高高架下の98%が、すでに何らかの形で使われているということ。首都高の手による新しいビジネスやサービスにしていこうとするなら、自治体などの公共団体の協力を得たうえで、施設の移設や撤去に応じてもらう必要がある。

 そして首都高は自前の道路ではなく、日本高速道路保有・債務返済機構から借り受けている道路。となると、高架下の利用に関しては、道路占用の許可が必要となる。この許可というのが曲者で、建設省(当時)の許可基準を調べてみると、「高架道路の路面下の占用は、道路の管理上好ましくないので、抑制の方針をとること」「やむを得ない場合でなければ、許可してはならない」などとあった。

 ただ、許可基準に関しては、首都高や近隣の住民、各行政団体から高架下の有効活用を望む声が高まり、2005年の9月により柔軟に対応できる方向へ改正されている。

 先に述べた保育所やペット複合施設なども、この改正後にできたもので、近年の防音や防振技術の進化とあわせて続々と新しい形態の高架下活用例が出てきている。

首都高高架下はどう変わる?

 さて、この改正があったことで、首都高の高架下は今後どのような展開が望めるのだろうか。より良いサービスの提供を目的に、首都高に造詣が深い人たちで結成された「首都高辛口応援団」の提言を見る限り、少しずつ高架下の有効活用に向けて歩みを進めたようだ。

 そこで挙がっていたのは、高架下を広告スペースに活用すること。当然景観や安全への配慮は必須だが、利益を上げられるというのは大きなメリットと言える。さらに変わったところでは高架下の駐車場を活用したカーシェアリング。最近よく耳にする言葉だが、これは何人かで1台のクルマを共同所有すること。これによりCO2の削減が見込まれ、地球環境保護の面でも注目に値する提言だろう。

 冒頭で高架下の使用率は98%とお伝えしたが、最近は既存の駐車場にコンビニやカフェなどが併設されているところも出てきている。これこそまさに今あるものを進化させた有効活用の理想形の一つと言えるのではないだろうか。

■まとめ

 高架下の使用率が98%であっても、それが有効かどうかはやはり別問題。今のままではせっかくのスペースを遊ばせているように映ってしまう。そうならないために、首都高は少しずつではあるが歩き始めている。今後、「お、いいね」「こんなの欲しかったよ」と思えるような状況が少しでも早く実現することに期待したい。

民営首都高への提言 / 首都高辛口応援団

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