特集レポート
首都高バイク隊とは?
~その役割と仰天装備~
みなさんはもう見かけただろうか。首都高上でイエローのカラーリングが施されたバイクを。これこそが昨年の山手トンネル開通と時を同じくして結成されたバイク隊なのだ。しかし任務に就いてから間もないこともあり、その存在はあまり知られていない。では首都高のバイク隊とは一体どんな人たちなのか、その核心に迫る。
一分でも早く現場に到着するために結成された
バイク隊とは、いち早く現場にかけつけ、スムーズな処理を行うために首都高で結成されたパトロール部隊のこと。重大な事故などでは一刻一秒を争う事態になりかねない。まして山手トンネルのような長大なトンネルではなおさらだ。
ところが横幅のある4輪車では、渋滞時などはなかなか思うように進めないことも多い。そんな時に機動性に優れたバイクであればスムーズに現場に到着することができる。この起草から約6年、民間企業としては初の緊急指定車両となったのが首都高バイク隊なのだ。
バイク本体の価格はなんと約230万円!
首都高のパトロールカーと同じイエローが鮮やかなこのバイク、実は数々の改造が施されている。緊急指定を受けているので赤色灯やサイレンはもちろんのこと、無線機やスピーカーも装備されている。
無線通信は、走行中の風きり音をカットする、「説話型ノイズキャンセルマイクロフォン」と呼ばれるKTEL製の特許を取得したものが搭載され、聞き間違えなどがないよう、よりクリアな音声でやりとりができるようになっている。
スピーカーが前後に向けて取り付けられている点も大きな特徴。警視庁の白バイは取り締まりなどが主な目的のため、拡声器は前向きにしか装着されていない。しかし首都高のバイク隊は、後方から来る警察や消防車両の道の確保をするという役割もある。そのためには「道を開けてください」といったアナウンスを前方だけでなく、後方も含めた周辺にいるクルマ全体伝えることが求められる。だから後方に向けたスピーカーも装着されているわけだ。
その他にもエンジンガードやリアボックス、ハンドル、シート、ライトに至るまで様々な改造がなされている。ちなみに改造費も含めたバイク本体の車両はなんと230万円程度というから驚きだ。
特許続出の装備がてんこ盛り
バイクを運転する隊員の装備もまた非常にハイレベル。まずはヘルメット。一見するとよくあるジェット型のヘルメットに思えるが、実はヘルメット内にイヤホンとマイクがあり、乗車中はもとより降車している時でも無線通信が可能となっている。
さらに後部にあしらわれた首都高のロゴリフレクターがまたニクイ。これは夜間時など後方からの視認性を高めるためのものと言える。
ライディングウェアについても全ての製品が二輪用の特注で、全ての方向からリフレクターで反射させる等の安全対策も行っている。
そして装備のハイライトとも言えるのがエアバッグだ。バイクの車両本体にエアバッグ?そうではない。隊員の着ているジャケットにエアバッグが備わっているのだ。
これは無限電光が特許を取得した商品で、ジャケット内の首や背中、胸、尻へと巡らされたエアバッグと炭酸ガスを圧縮したボンベを備えている。転倒や事故の際は、エアバッグに炭酸ガスが送り込まれ、約0.5秒で完全に膨らみ、人体への衝撃を緩和する。ためしに作動させてもらったところ、膨張したエアバッグには強力な張りがある。ことに首の部分は、ヘルメットを被って重たくなった頭をコルセットをしたかのようにガッチリと固定する。
通常時はボンベとエアバッグの間に、キーボールというパーツを組み込んだキーボックスがあり、これが栓の役目をしている。このキーボールとバイクをワイヤーで繋ぐ。転倒や事故などでバイクと体が離れると、キーボールが抜け、キーボックスが作動。エアバッグが膨らむ仕組みだ。
キーボールのワイヤーには途中にコネクタがある。乗るときにはジャケット側とバイク側のコネクタをカチっとはめるだけ。あまりにも簡単なので、その存在を忘れてしまうほどだ。それゆえコネクタを外さず降車し、そのままバイクを離れようとした時に作動しないのかという恐れもあるが、それはまったくの杞憂。
キーボールが抜けるには25キログラム~30キログラム程度の力が必要。ちょっと引っ張ったくらいでは誤作動しないようしっかりと考えて作られている。事実、撮影のために作動させた時は、大人がかなりの力を入れないと抜けないほどだった。
このエアバッグジャケットは、スペインのマドリード警察やブラジルのサンパウロ警察などでも採用されている。これさえあれば万全とは言いすぎかもしれないが、隊員自体の安全も守るという首都高の姿勢がよく窺える。またこの商品は一般にも市販されているので、大型二輪の死亡事故が増えている昨今、自身の安全面に気を配るのも大切なことなのかもしれない。
6カ月もの訓練を経て隊員に
そんな危険に身をさらしながら任務をこなしている隊員たちは、どのような基準で選ばれているのだろうか。パトロールカーの場合は2名乗車が基本。しかしバイクの場合は当然1人となるわけで、現場ではすべて自分で考え、行動しなければならない。
その点を聞いてみると、やはりと言うべきか、四輪業務5年以上というのが隊員になるための前提条件となるそうだ。しかも経験があるからといってもすぐに隊員になれるわけではなく、6カ月にも及ぶ厳しい訓練をこなす必要がある。
そんな訓練を経て隊員になった方たちに話を伺ってみると、二輪のメリットはやはり現場にいち早く到着できることだという。幸い大きな事故などは起こっていないそうだが、その利点を感じることは着任から2ヶ月余りの間に何回もあったそうだ。
また、バイク隊で辛いことを聞いてみると、口を揃えて「寒いこと」という答えが返ってきた。この寒空の下、しかも風を切って走るのだからその辛さは想像に難くない。しかし夏場はもっと過酷な状況になるだろう。寒さは防寒である程度しのげるが、暑さはどうにもならない。それでも泣き言を言わずに私たち利用者の安全を守るために働いてくれることを考えると頭が下がる。
そんな彼らが所属するバイク隊の管理基地は3つある。バイク基地は5号線の志村にあり、中央環状線(C2)の滝野川、4号線の永福にそれぞれ待機場所が存在している。彼らの勇姿を見かけるには、山手トンネルを中心とした上記エリアがもっとも確率が高いのかもしれない。
■まとめ
隊員の一人がバイク隊に志願した理由をこう語っていた。「自分1人でどこまでできるか試してみたかった」。子供のみならず、大人でも白バイ隊員に憧れる人は多い。カッコ良く輝いて見えるからだ。しかしそれは外見上だけでなく、隊員が言っていた仕事に対する意気込みを持っているからこそなのかもしれない。そう考えると、首都高のバイク隊に憧れる人が出てくるのもきっと近い将来のはずだ。
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