特集レポート

【エリア特集】2007-08-23

首都高を撮る
長大橋でダイナミックな写真を撮影

 走っている時はなかなか気づかないが、首都高上には実に魅力的な橋が数多く存在する。ただ、カッコよく撮りたいと思っても、なかなかうまくいかないのが実情だ。そこで、プロカメラマンの松葉さんを先生役に、オススメのスポットやうまく撮るコツを探ってきたぞ! 生徒として同行した編集担当とのクオリティの違いは歴然! プロのテクニックに要注目だ!

【五色桜大橋】
自分の足を使って良いアングルを探すこと

 まず最初に登場するのは、中央環状線(C2)の荒川に架かる五色桜大橋。この橋は世界初のダブルデッキニールセンローゼ橋として有名で、かつてこの辺り一帯に5色の桜が咲いていたことから、この名がつけられている。進行方向は、上側が内回り(板橋方面)、下側が外回り(江北方面)となっている。

 では早速、生徒の写真を見てみよう。

「いいスナップショットだと思うのですが…ちょっと撮り急いじゃいました」

 一見キレイなスナップショットだが、先生いわく「この構図で撮るなら、歩道など余計な部分は入れないようにしないと」とのこと。さらに「見慣れた構図なのでおもしろみがない」とちょっと辛口。キモは「歩くこと」だとか。「歩くことで、普段とは違った橋の姿が見えてくるんです」。確かに先生の写真は、橋の下からのショットが多い。「橋の下を少し入れることで、より奥行きも感じられる」んだとか。つまりは橋を見つけてすぐに撮るのではなく、じっくりと自分の足を使っておもしろい構図を見つけてから撮るのが大事というわけだ。


「自分で歩いて場所を変えれば、よりおもしろいアングルを見つけられるんですよ」


「撮影したのはほぼ正午。下に伸びる影を使って遊んでみるのもいいかもしれません」


「これは逆側からですね。歩くことで、より魅力的なアングルを見つけることができるんです」

 ここで先生が使っていた撮影アイテムを1つ紹介しよう。それは余計な光を遮るPLフィルターというもの。主に太陽光が非常に強い時に使うもので、これを使うと雲などがクッキリと浮かび上がるように写るんだとか。その差は生徒との写真を見比べてみれば一目瞭然。

ちなみにコンパクトカメラでも手に持って使うことができるうえ、価格も3,000円程度から購入できるので、一度使ってみるのもいいかもしれない。

【かつしかハープ橋】
橋の特徴を生かしつつダイナミックに

 次のスポットは、世界初の曲線斜張橋(吊り橋)で、48本のワイヤーが楽器のハープように見えることからその名が付いた、かつしかハープ橋。名前のとおり中央環状線(C2)の葛飾区綾瀬川に架かる橋で、写真手前側が船堀橋方面、奥側が小菅方面となっている。

 まずは生徒の写真をチェック。

「先生のアドバイスをもらって橋の下を入れてダイナミックに撮ってみました」

 五色桜大橋でのアドバイスを受けて、橋の下を入れてダイナミックな写真を撮影している。すると先生、「お、学習してますね。ただ肝心のハープがよく見えません。これじゃ本末転倒です」とつれないお言葉。ただし、この被写体は非常に難しい題材らしく、「橋に近づきすぎると、特徴のS字やハープが見えなくなり、離れすぎるとダイナミックさがなくなってしまう」んだとか。つまり、橋の特徴をファインダーにしっかり残しつつ、迫力も失われないポイントを探すことが大事というわけだ。確かにこの橋の撮影時、先生は何度も橋に近づいたり離れたりを繰り返していた。ファインダーを覗きつつ移動し、絶妙のポイントを探すのがカッコいい写真への近道と言えるようだ。


「ハープ橋の特徴と、橋が持つ迫力を表現した写真です」


「縦位置で撮ることで、橋の特徴をクローズアップして表現することもできます」

 もう一つ先生が言っていたのは、時間帯。この写真を撮影していたのは15時頃だが「この時間帯がベスト。日の当たるところと影になっているところのコントラストがクッキリ出ていて、橋のカタチが写しやすい。あと撮影ポイントは、写真の下のほうに流れている川の右側に移動して撮ってもいい写真が撮れるかもしれません。時間があったら、そちらから狙ってみるのもオススメですよ」。

【荒川湾岸橋】
逆光時は影から撮影するか露出補正を

 午後4時頃に撮影となったのが、中央環状線(C2)と湾岸線(B)の交わる葛西JCT付近の荒川湾岸橋。この橋は荒川を跨ぐように架かっており、首都高、国道357号線、京葉線と3つの橋が隣合わせになっているのが特徴。ちなみに生徒の写真で言う右側が新木場方面、左側が浦安方面となっている。

 さてその生徒の写真。

「橋が大きすぎて全体が入りませんでした。おまけに逆光のおかげで何を撮っているんだか分からない写真に…」

 生徒曰く「橋が大きいし、逆光で非常に難しかった」と、橋の大きさと光の2点が頭を悩ませたようだ。それに対する先生のアドバイスはこうだ。「橋の全景を入れるのはちょっと難しい。その場合は、何を入れるかが大事。橋の特徴をつかんで、ポイントとなる点を写すようにします。無理に全体を入れようとすると、まとまりのない写真になってしまいますからね。それから光。この時のロケーションはもろに逆光。その光がまともにレンズに入ると、内面反射がおきて白くにごった写真になってしまいます。そんな時は少しでも影になっているところから狙うのが大切。橋の下に潜り込んでみると、普段目にすることのできない新しい橋の姿が見えてくることもありますからね」


「これは荒川橋と首都高が交わるところですね。太陽は橋の奥に隠しています」


「広角レンズを使うと、橋の全景を入れることができます。これは14mmくらいのレンズで撮りました」


「葛西JCTから荒川橋を撮ったものです」


「橋の下から、国道、線路、首都高の3本の橋を入れてみました。ここではあえて逆光を利用しています」


「青空を切り取ったようなイメージです。片隅に生徒さんを入れることで、スケール感が出てきます」


「ハープ橋方面に続く首都高と、その遠景を入れた写真です。大きいサイズで見るのに向いていますね」

 先生のお手本写真を見ると、なるほど同じ橋であるにもかかわらず、まったく違った表情を見せている。また、撮影時のように光のコントラストが強い場合には露出補正も使うと良いそうだ。「露出補正と聞くと、ちょっと難易度が高いような気になりますが、テレビの明るさ調整をするようなもんです。今のコンパクトカメラにはほとんどその機能がついているはずですから、-1とか+1とかちょっといじって撮影してみると、思い描いた写真が撮れると思いますよ」。デジカメならその場で確認もできるし、消去もできる。光の捉え方が難しい場合は、露出補正の機能を使ってみよう。

【レインボーブリッジ】
画面の要素が多い場合は思い切って取捨選択

 写真愛好家でなくともその名が広く知られているレインボーブリッジ。芝浦と台場を結ぶこの橋(11号台場線)は、格好のデートコースとしても有名だが、平成5年の開通以来、渋滞緩和や周辺環境の改善にも大きく貢献していることはあまり知られていない。

 そんな美しい橋としては抜群の知名度を誇るレインボーブリッジをどう撮るか。すでに橋を撮り始めて4本目となり、生徒も成長したのか、ここに来て初めて先生と似たような構図での写真を撮っている。


「あまりにもいろんな要素が多すぎて、どう撮っていいのか分からなくなっちゃいました」

 「普通に撮ったんじゃおもしろくないと思ったものの、あまりにも大きくて入りきらなかった」と語る生徒に対し、先生は「惜しい!考え方はいいですが、構図がぶつ切りになっちゃいました」とコメント。ここでの撮影は、荒川湾岸橋の時と同様、要素の取捨選択がキーとなるようだ。「部屋の大掃除と同じで、いらないと思ったものは思い切って捨てること。そうすることで画面整理が出来て、何を見せたいのかがすぐに分かる写真が撮れるんですよ」。


「ループから橋本体への流れる感じを表現してみました」


「撮影が18時近くだったので、光線の条件としては、あまりいい状況ではありませんでした。15時頃か、夕日の時間だったらもっとドラマチックな絵になりますよ」

 その他、脚立を持っていくとかなり役立つらしい。「生徒の写真を見れば分かるとおり、写真の下半分に、コンクリの壁が入ってしまっているんです。これはちょっとカッコ悪い。脚立があれば、この壁を入れずに撮影することができます。かつしかハープ橋の時もそうでしたが、ちょっと高さが変わるだけで、撮れる写真の内容は大きく変わってくるんですよ」

【横浜ベイブリッジ】
夕日の撮影は時間との戦いが勝負の分かれ目

 最後に登場するのは、レインボーブリッジと並んで知名度の高い横浜ベイブリッジだ。この橋は大黒(写真右側)と本牧(写真左側)を結ぶ長さ860mの斜張橋(吊り橋)で、上を走るのが湾岸線(B)、下を走るのが国道357号線となっている。

 さて、肝心の写真の方は、時刻も18時を過ぎ、夕日が美しい状況。これを見た両者は、夕日をバックに撮影すべく、大黒ふ頭の海づり公園のつり桟橋に移動。今回初めて引きの写真を選択した。


「いい写真が撮れました。自信作です」

 生徒の写真を見るなり先生は「これは良く撮れました」とお褒めのお言葉。夕日をバックにした撮影の場合、いい写真を撮るには時間との戦いになるそうだ。「夕日がおいしい時間は、10分~15分程度。スピードが命です」。つまり、夕日をうまく生かして撮影するためには、夕日になってから場所や構図を決めたのでは遅く、先に決めて後はシャッターを押すだけという状況にしておくことが大切なようだ。さらに夕日の場合は、あえて光を入れてみるのもいいらしい。「光の輪っかが出来たり、雰囲気のある写真が撮れたりと、予想もしなかった写真になることも多いので、やってみる価値はありますよ。あと光の加減が難しいので、荒川湾岸橋の時と同様、露出補正を使ってみるのもいいかもしれませんね」。


「夕日がレンズに真っ直ぐに入った時に撮れる写真です。あえて太陽にレンズを向けるなど、いろいろ試してみるといいですよ」


「水平線の位置を変えるだけで、バランスの変化が生まれ、大きく印象の異なる写真になるんです」


「橋の隙間に夕日を入れると、走行するクルマの輪郭がハッキリ見えるようになります」


「太陽が沈むと、空に青が戻ります。そのグラデーションもキレイですよ」

 ちなみに生徒と先生の夕日の色が違うのは、先生がトワイライトフィルターを使っているから。これはコンパクトデジカメについている夕焼けモードを使うと同じように撮れるそうだ。夕日をバックにした撮影ではぜひ使ってみよう。

■先生のプロフィール
プロカメラマン:松葉 理さん
1972年東京都生まれ。東京綜合写真専門学校を卒業後、ササキスタジオの故星野豊氏に師事。2006年に日本広告写真家協会(APA)正会員となり、現在はジャンルを問わず、さまざまなメディアで活躍中の35歳。

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://smartshimbun.jp/column/6/trackback.html

トラックバック一覧(1)
ヴィム・ヴェンダース監督が訪れた場所【ミズタマのチチ】

Photo data: 07/12/01/14:55 Pana Lumix DMC-FX30 W端(28mm相当) 露出補正+2/3デザイナー山本耀司の創作活動…(2007-12-02 01:25:36)

特集レポート一覧

最新ニュース

ヘッドラインニュース一覧

特集レポート

首都高の景観デザイン(2) ~周辺環境との調和~

首都高の景観デザイン(2) ~周辺環境との調和~
ビル群が林立する東京において、その間を縫うようにして走る首…
[記事全文]

特集レポート一覧

アクセスランキング

  1. 首都高「山手トンネル」で合同防災訓練-開通控え最…
  2. 美女木JCTに日本初の路面走行デザイン-下りこう…
  3. 「東京スマートドライバー計画」全容明らかに-10…
  4. 山手トンネル利用状況発表-渋滞削減、所要時間短縮…
  5. 首都高速中央環状線「山手トンネル」開通-16時か…
  6. 「大人の社会科見学ツアー」-メディア関係者ら40…
  7. 植竹隆政シェフ、一夜限りの「東京スマートレストラ…
  8. フリー情報誌「R25」で完成間近の首都高「山手ト…
  9. 首都高「ホメドライブ」始動-ホメパト「NISSA…
  10. 首都高ETC、通行台数10億台を突破-ルー大柴さ…

アクセスランキング一覧

最新トラックバック

最新トラックバック一覧

ETCガイド