特集レポート

【インタビュー】2007-08-30

首都高のサインの不思議
記号や線で快適ドライブに導く

 首都高上には、路面や看板などにさまざまなマークが表示されている。速度表示など分かりやすいものならいざしらず。中には「コレどういう意味?」と首をかしげてしまうマークも多い。そこで今回は、不思議なマークは一体なんのために、どういう意図で設置されているのかを聞いてきた。答えてくれたのは、首都高で渋滞解消や事故防止を考えている方。

【1】
赤と黒のゼブラゾーンは何のため?

 カーブの手前あたりでよく見かける赤と黒のゼブラゾーン。一定間隔で赤い帯が引かれていて、そこを走るとダンダンダンと突き上げを感じるものだ。また、同じような見た目ながら、段差を感じないタイプもある。これらは一体なんのためにあるのか? そして段差を感じるものと感じないものはどう使い分けているのだろうか?

減速を促す路面からのメッセージです

 「これは通常の舗装の上に赤い薄層舗装で帯を引いたもので、減速を促す目的があります。主にカーブの手前などにありますが、直線を走っているそのままの速度でカーブに進入すると、曲がりきれずに側壁にぶつかってしまう危険がある。それを防ぐためのメッセージとして、このようなゼブラが設置されているのです。

 ゼブラには視覚的効果と体感的効果の2つの効果がありまして、視覚的効果は赤い帯によって『この先に何かあるのかもしれない』という注意を喚起します。体感的効果は、段差を越える際のダンダンダンという衝撃によって訴えかけます。この2つの相乗効果によって、減速を促すんです。

 そして、段差のないゼブラ。これは視覚的効果のみを狙ったもので、主に都心部に設置されています。赤の薄層舗装と、黒の薄層舗装を交互にくっつけて引くことで、段差をなくしているんです。なぜ段差のないものを設置するのかというと、段差による音が近隣の方々への迷惑となるからです。

 2種類のゼブラゾーンはそれぞれ、近くに民家などがないエリアでは段差があるもの、すぐ隣にマンションなどが立ち並ぶ都心部では段差がないものと、使い分けているんです」。

【2】
道幅が狭く感じる白線の意味は?

 例えば片側2車線の左車線を走っていたとしよう。そんな時に左の外側線と右の中央線の内側に、それぞれさらに白線が一定間隔で引かれていることがある。外側線と中央線の内側に、さらに白線を引かれたのでは、車線が狭くなったように感じてしまう。この白線は一体なんのために引かれているのだろうか?

目の錯覚による減速効果が狙いです


 「車線が狭く感じる、というのは私たちの狙いです。そう感じてほしいからこそ、わざわざ外側線と中央線の内側にさらに白線を引いているんです。これは減速レーンマークと呼ばれるもので、その名のとおり、減速してもらうことを目的に施工しています。

 目の錯覚とも言えるのですが、減速レーンマークがあることで、走行中の車線が狭くなったように見受けられるのです。すると、このスピードでは速すぎると感じ、減速をしていくという仕組みです。

 ちょっとイメージしてみてください。あなたが道幅の広い国道から狭い路地に入ったとしましょう。その時に国道を走っていた時と同じスピードで走れるでしょうか? 必ず減速して走行するはずです。少し極端な例ではありますが、減速レーンマークのあるゾーンは、例えで言うところの路地を走っているような感覚になってもらいたいというわけです。

これは急カーブの手前など、減速を促したいエリアに設置しています。「私たちの目的は、無駄な事故を防ぎ、みなさんに安全に走行してもらうこと。そのためにこういったマークが存在しているんです」。

【3】
下り坂なのに、なぜ登り坂マーク?

 首都高を走っていて、4%などと書かれた上り坂を表した看板を目にしたことはないだろうか。不思議なことに、その看板が下り坂の途中に出ていることもある。下り坂でスピードが出ることに注意を促すなら分かるが、出ているのは上り坂マークばかり。これは一体どんな意図があって出されているだろうか?

大型車などに速度低下の注意を促しています

 「この先に上り坂があるよ、という看板ですね。これは確かに分かりづらいかもしれません。『上り坂は分かったけど、だからなんなんだ?』と思われる方もいらっしゃるかと思います。これは主に大型車両などに向けて出しているマークなのですが、上り坂による速度低下に対して、注意を促しているものなんです。

 平坦な道を走っているのと同じアクセル開度で上り坂に入ると、当然のことながら速度は低下します。先行車両の速度が落ちると、後続車両も減速します。その速度低下はわずかとはいえ、チリも積もればなんとやらで、そこがボトルネックとなって渋滞になることもあるんですね。特に大型車は重量もあり速度の回復に時間がかかるので、坂より手前に看板を設置して、速度の低下に注意してくださいというメッセージを出しているわけです。


 たとえば、この写真の場所付近でも速度低下による渋滞が起きていました。でも看板を設置したことで、通過速度が前年に比べ2kmくらい上がりました。速度改善が現れているんですね。

 ちなみに下り坂の途中に上り坂の看板が出ているというのは、看板を上り坂の500mくらい手前に出しているので、そういったケースもあるというわけです。この看板は少しでも渋滞発生を防ぎたいという意図で、主に速度低下が見られる上り坂があるポイントを中心に出しているんですよ」。

【4】
赤と緑の三角マークは何?

 どこからどこまで渋滞○km、○分など、渋滞時などは特に役立つ文字情報板。その情報版の渋滞情報の横あたりに、2~3年前から赤と緑の三角マークが入るようになった。赤は右肩上がりの三角、緑は右肩下がりの三角で表されているのだが、これらはどんな意図があって表示されているのだろうか?

渋滞の増減傾向を表しています

 「これはその区間で起きている渋滞が、増加傾向にあるのか、それとも減少傾向にあるのかを表しているものです。今までは、渋滞があることは伝えられても、それがどういう状況にあるかまではお知らせできませんでした。そこで考えられたのが、この赤と緑の三角マークです。

 赤いマークは事故が起きた直後など、今後渋滞の増加が予想されるケース、緑のマークは、事故処理がすでに終わっているなど、渋滞の緩和が見込まれる場合に出しています。

 そうすることによって、『渋滞が増えるなら別ルートで行こう』とか『渋滞が減るならこのまま下りずに行こう』など、選択肢の幅が広がります。そういった判断が出来るような、キメ細かいサービスをしたいと思って出しているわけです。(図はSHUTOKO TRAFFIC CHANNEL 「文字情報版の見方」より引用)

 もう一つ、環状線などの情報版では、内回り外回りを湾曲した矢印で表しています。これは文字では分かりにくいものを、読むのではなく見るだけで分かるように表現したものです。こうすることによって、一目でどちらのルートが早く着くといったことが分かるような仕組みにしています」。

【5】
路面に水玉模様のマークとは?

 今首都高は、路面や看板のマークなどに対し、新たな取り組みをしているそうだ。まだ試験的段階で、首都高上には存在していないようだが、路面に水玉模様を配置して何かを伝えるという試みを行っているらしい。それは一体どんな意図で、どのようにして伝えるつもりなのだろうか?

走行空間の質を上げるための取り組みです

 「私たちが今取り組んでいるのは、メッセージをみなさんに分かりやすく、そして的確に伝えるにはどうしたらいいか、ということです。その試みの1つが水玉模様で、文字としての情報ではなく、体感的にすぐ分かってもらえるような仕組みになっています。

 具体的には、メッセージポイントの手前から基本形の水玉を配置し、カーブの手前に来たらその向きを変えて曲がることを促すとか、下り坂では水玉の間隔を徐々に狭めてスピードの増加を感じさせ、減速してもらうという役割です。

 従来からある看板などはピンポイントでお知らせする情報ですが、走行している空間を使って伝えることで、この場所ではどう運転したらいいかを走っているうちに自然に感じられるようなメッセージにしたいと考えているんです。

 私たちの目的はみなさんに安全かつスムーズに走っていただくこと。そのためには、情報提供なども含めた走行空間の質を上げていくことも重要です。まだまだ検証段階ではありますが、今後もこういった取り組みを続けていき、少しでも走りやすい首都高にしていければと思っています」。

まとめ

 存在は知っているけど、意味までは分からなかった首都高の不思議なサイン。こうして話を聞いてみると、サインの裏には事故の防止や渋滞の緩和など、さまざまなメッセージが込められていたのがよく分かる。さらには水玉模様のマークなど、今後も新しい取り組みをどんどん進めていくようだ。

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