連載
VOL.6(最終回) これからの9年間、どんなエコを選択しますか?TOKYO油田2017
天ぷら、唐揚げ、コロッケ……。揚げたてアツアツが何より美味しい油料理。家庭でも、アツアツの揚げモノが食べたいけれど、お鍋になみなみと注がれた油の後処理を考えると、手づくりメニューのレパートリーになかなか入れられなかったりしませんか?そんな「料理後の油はどうやって捨てればいいの?」の問いに、「廃食油は回収してVDF(ベジタブル・ディーゼル・フューエル)燃料(※1)にする」という廃食油のリサイクルを推進しているプロジェクトが「TOKYO油田2017」。そして、このプロジェクトには、首都高も今年6月から参加。前回の〈エコPA〉こと代々木パーキングエリアの取材に引き続き、エコプロジェクトをリポート!
取材日は9月末日。片桐氏とスタッフ一同が、向かった先は墨田区にある〈TOKYO油田2017〉プロジェクトの本拠地、〈株式会社ユーズ〉とその系列会社〈染谷商店〉。行きの車中では、「久しぶりの取材ですね~」と、のんびり和やかモード。が、一転。見学が終わり、帰るころには「下町の底力!」と感嘆の声に。
首都高では、代々木パーキングエリアのリニューアルオープンをきっかけに、〈TOKYO油田2017〉プロジェクトに参加。レストランがある11の首都高パーキングエリアから廃食油を回収し、VDF燃料へリサイクル。VDFは軽油と比較すると、黒煙は軽油の半分以下になるなど環境負荷が少ないので、アイドリングの頻度が高い首都高の道路維持作業車にVDFを使用しているとのこと。

「〈TOKYO油田2017〉とは、東京で使われた全ての天ぷら油をeco資源に変える、つまり、廃食油をVDFという軽油代替燃料へリサイクルするプロジェクトなんです。国内での廃食油の量は年間約40万トンと言われています。そのうち、半分の約20万トンは、リサイクルされないまま、一般家庭などから生活排水やゴミとして捨てられてしまうので、その量を減らせれば……」。と、〈ユーズ〉の、コーディネーターならぬ「エコディネーター」の小賀さん。小賀さんと首都高の長谷川さんの説明に「なるほど」と深くうなづく片桐氏。「VDF燃料としてリサイクルできる廃食油が大量に存在している、ということでTOKYO油田なんですね!」
では、「廃食油はどうやってVDF燃料にリサイクルされるのか?」
以下の流れにそって、見学スタート。

工程1:回収。
レストランなどから出た廃食油はアルミ缶に入れられ、〈ユーズ〉のトラックで回収。
建物内の床は、油でツルツル。靴は、ラバーソールでないと転んでしまいそう。
↓

工程2:選別。
(ここからが〈染谷商店〉の担当です)
サラダ油、オリーブ油、ベニバナ油などの植物性廃食油と、ラードなどの動物性廃食油に選別。
↓
工程3:加熱。
選別後、廃食油から油カスなどを取り除き、加熱して水分を飛ばす。
↓
工程4:前処理
↓
工程5:精製
冷却、ろ過、貯蔵の精製プロセスを経て、約6時間後VDFが完成。
選別された植物性廃食油は、約90%がVDFとして、残り10%がグリセリンと水分に生成されるということで、とてもリサイクル率が高く、青いドラム缶に、蛇口から絞り出されるように流れ出るVDFは、とても澄んだ色の油でした。

さらに、つづく見学場所は、工場に隣接する、部屋。どこか懐かしさを感じてしまう引き戸に、「いったいここは?」。
戸を明けてみると……。
ドーンとまさに研究室!ところ狭しと埋め尽くされながらも整然と並べられた実験道具。包帯がまかれたフラスコや、油の入った試験管。モノを大切にという精神が伝わってきて、片桐氏も、思わず「おぉ~スゴイっ!」と。


廃油の回収事業からはじまり、創業約60年の〈染谷商店〉。16年前に、アメリカで大豆油からディーゼル燃料を生産・使用している情報を得たことをきっかけに、VDFの開発に着手。開発メンバーの一人である、河本さんが休憩中のところ、突然おじゃまして、お話を伺うと、「当初は全てにおいて、はじめてだから、手作業で。より安定したVDF燃料にするために、常に分析。品質チェックはかかせなかった。ヨーロッパでは、ディーゼル燃料はかなり見直されていますし、最近は廃食油が足りないほどになってるんですよ」。

今では、全自動で廃食油からVDFをつくり出す、VDF製造ミニプラント(写真左)が完成し、世界初のエコ技術を墨田区から発信。
プチ情報としては、VDF100%で走る、ディーゼル車の排気ガスは、天ぷら屋さんの香りがするそうで。9年後には、首都高沿いの排気ガスの成分が、変わっているかもしれない!?

ちなみに(写真右→)は、排気ガスを近くで吸ってしまって、「ゴホっ」と、むせてしまった片桐氏。
燃料がVDF100%の車以外では、マネしないでくださいね。

※1 VDF(ベジタブル・ディーゼル・フューエル)/1993年染谷商店が独自に開発した、軽油代替燃料。地球に優しいクリーンなエネルギー。詳しくは、こちらからアクセスを。
http://tokyoyuden.jp

※2 写真右下/お土産でいただいた、TOKYO油田2017のロゴをモチーフとしたTOKYO油田せんべい(製造:坂本せん餅)。帰りの車中、みんなで美味しくいただきました。ありがとうございました!
片桐仁(俳優)
ラーメンズとしてコント作品を発表する他、舞台の客演を中心に活動。ドラマや映画など多方面で活躍中。粘土造形家の顔も持つ。
http://www.rahmens.net
撮影_ 佐山順丸
文_ かめすずり
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