連載
Vol.5 「首都高山手トンネル工事の超弩級スケール!」
~2007年12月22日に開通~
いつも、じっと車の重みに耐えている寡黙な首都高さんですが、実はとても人間のことをよく知っています。なにしろ、45年24時間片時も休まず、道の上で起こったいろいろな“事件”を見上げてきたのですから。このコラムは、その中でオモシロイできごとや興味深いできごとを拾います。そして、首都高さんの1学年先輩!?である石黒謙吾が、現場レポートよろしく事件を検証!ただし、カジュアルかつ無責任かつゆるーくですけど。
2005年10月1日 付
読売新聞 2002年9月14日夕刊 付
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モグラタンクという、なんともメカニカルかつ機能的で冒険の雰囲気漂うマシンは、たいがいの少年をワクワクさせるものではないか、と思うのです。さあそして、サンダーバードのは先が尖ったドリルのような形状だったし、トンネルもそういうマシンで掘り進むと思って話していたら……。「先が円盤状になっていて岩盤を削っていくんです」だと。は? え、え、円盤すか? なんで平べったいもので掘れるわけ? 「前面にギザギザの歯みたいな突起物がたくさんあって、円盤が回転してがりがりと削り落としていくんです」 ほっほ~!! 「先が尖っていたら、岩盤が堅いので全然無理だと思います」 目からウロコ。長年抱いていたモグラタンクヒーロー像ががらがらと崩れていきました。さらに興味津々と僕の食い付きは加速し質問攻め。ゼヒもんでトンネル工事の現場を見学させてほしいと頼み込んで、潜ってきました地下深く!
現在、池袋~新宿間が開通していて、今工事が進んでいるのが、新宿~渋谷間。渋谷の近く、池尻に建設中の巨大な「大橋ジャンクション」(地上で3号渋谷線と合流させる)から入り400m余りの区間を、マシンやら工法やら概念やらいろいろな説明を受けながら通るという、トンネルファンが聞いたら卒倒しそうなオイシイ体験をしてきましたよ。
「シールドマシン」を見上げる石黒氏
ちょうどこのマシンが池尻まで掘り終わり、新宿方向に向きを変えてUターン(往復の復路にあたるわけ)する時で、作業休止中だったので、円盤の先端やら全体像をじっくりと見ることができたのです。これは本当にラッキーなタイミングで、レアレアな体験でしたよ。そして、未完成のトンネルの中を400m歩いてみて、頭脳、時間、お金、人手などなど、すさまじく大きな規模の土木事業だということを痛感。漠然と想像はしてたけど、できあがってない状態だとひしひしと伝わってくる。
そうそう、現場を案内してくれた馬場さんという工事担当の方が、かなり親切で熱心で気さくで面白い方で、わかりやすい解説が次々と降り注ぎ、僕の知的好奇心もどんどん掘り進められましたね。ちなみに、一番ツボにハマった話は、掘り終った土の運び方。芥川龍之介のトロッコみたいので運ぶのかと思ったらさにあらず。一度水で溶かして泥にして、ポンプで送り出すんだって! 地上に上げたら、泥水を何層かの網目に通して、石、砂利、土などに分別して運び出すというシステマティックさ。うーむ。しびれる。別れ際に馬場さんが言った土木工事でよく使われるということばにと、モグラタンクを見た時と同じように、石黒少年(47歳)は再度しびれてしまいました。
「水を制するものは土木を制す!」
おお、かっこいい。
http://www.blueorange.co.jp
映画化もされた『盲導犬クイールの一生』から、『ダジャレ ヌーヴォー』『図解でユカイ』『CQ判定 常識力テスト』『ベルギービール大全』などカルチャー路線まで著書多数。最新刊で初の短編小説集『犬がいたから』(集英社)が好評。
[次回の予告] 未来都市になりきった?首都高
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